老後資金

【マスコミを論破】GPIFが年金運用で15兆円の損失を出しても「失敗」ではない理由

国民年金や厚生年金だけでは、老後の生活を送れない。

金融庁がそのように明言したことに対して、MONEY VOICEというニュースサイトが痛烈に批判しています。

MONEY VOICE – ついに年金不足を政府が明言、運用失敗で15兆円を溶かしながら国民に自助を求める非道さ=今市太郎

 

私が読んだのは記事の無料部分のみですが、大まかな内容はこんな感じでした。

  1. 私たちは国に年金保険料を払っている
  2. 国はその年金保険料の運用に失敗した
  3. その失敗を棚に上げて、私たちに資産形成の自助努力を求めるのは理不尽だ

 

この記事を読んで私が気になったのは、2行目の部分。

年金保険料の運用に失敗したことを問題視しているのですが、はたして本当に失敗しているのでしょうか。

必ずしも失敗とは言い切れないと私は考えているので、そこらへんのことを書いていこうと思います。

年金はどのように運用されているか

私たちが支払う年金保険料は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)というところが運用しています。

運用の仕方は、いたってオーソドックスな分散投資。

2018年12月時点では、およそ150兆円を以下の割合で分散させています。

 

国内債券をはじめとする各資産クラスの特徴は、ざっくりこんな感じ。(かなり簡略化してるので注意してね)

  • 国内債券:リスクが小さい
  • 外国債券:リスクが小さい
  • 国内株式:リスクが大きい
  • 外国株式:リスクが大きい

 

リスクが小さい = 価格の変動が小さい、リスクが大きい = 価格の変動が大きいことを意味します。

リスクが小さい国内債券と外国債券で50%、リスクが大きい国内株式と外国株式で50%になるので、平均するとリスクは中くらいになりますね。

 


年金運用で15兆円の損失が出たワケ

ここまでで説明したGPIFの運用方針について、MONEY VOICEの記事では以下のように批判されています。

ストレートにグサッといってますね!

GPIFは安倍政権のアベノミクス政策に同調する(あるいは強要される)かたちで、2014年10月に投資のポートフォーリオの見直しを実施し、国内株の比率を12%から25%へと倍増させ、外国株の比率も同様に25%へと高めています。

その結果、2018年10〜12月に米株が暴落し、日本株も連動して下落した時期のたった四半期だけで、150兆円の資産合計の1割となる15兆円をいとも簡単に溶かしてしまうという大失態を犯しています。

 

むずかしい言葉がたくさんあるので、カンタンにまとめてみます。

  1. 株式の割合を上げた(リスク小 → 中)
  2. 株式が暴落した
  3. リスクが上がった分、ダメージが大きい

 

「15兆円を失ったのは、株式の割合を上げたお前らの責任だ!」と言っているわけですね。

以前はリスクが小さい債券の割合が大きかったので、その割合を維持していたらダメージは小さかったでしょう。

 

年金運用によって利益も発生している

MONEY VOICEの記事だけを見ると、「私たちが払ったお金になにしてくれとんねん!」ってなりますよね。

でも、もう一度よく読んでみてください。

運用で損失が出た時期についても書かれています。

その結果、2018年10〜12月に米株が暴落し、日本株も連動して下落した時期のたった四半期だけで、150兆円の資産合計の1割となる15兆円をいとも簡単に溶かしてしまうという大失態を犯しています。

 

短期投資であれば話は別ですが、GPIFが行っているのは長期にわたる分散投資

数カ月だけにフォーカスするとビルから飛び降りるような暴落に思えても、長期でみると階段を一段降りるくらいのものかもしれません。

GPIFが公開している運用結果を見てみましょう。

 

株式の割合を上げた2014年10月は左側の矢印、15兆円の損失が出た2018年12月が右側の矢印です。

正直なところ、そこまで大騒ぎするほど下がっていませんよね。

2014年10月時点の収益額と比べると、むしろ上がっています。

 

そして、もうひとつ大事なポイント!

2015年中盤~2017年終盤まで(矢印の間)、収益額が右肩上がりに増えています。

もし株式の割合が以前のままだったら、この上がり幅はもう少しゆるやかだったはず。(もうけが少ない)

 

たとえば、株式の価格が100円から200円になった場合、株式の割合によって以下のように運用益が変わります。

  • 株式比率20% → 120円…
  • 株式比率50% → 150円!
  • 株式比率80% → 180円!!

 

リスクとリターンは表裏一体。

15兆円の損失を出した背景には、それに値するくらいのリターンを出した時期もあったということです。

 


GPIFの運用は失敗ではない

GPIFがどのくらいのリターンを目指しているかは調べていませんが、少なくとも失敗しているとは言い切れないと私は思います。

「人生山あり谷あり」って言いますよね。

運用もそれと同じで、上がるときもあれば下がるときもある。

でも、トータルで見ると上がっている。

長期投資ってそんな感じですよ。

 

年金の運用で15兆円の損失が出た件については、今年行われた「年金返せデモ」でも取り上げられていました。

「年金溶かすな!」っていう掛け声で批判していたけど、私はどちらかというと年金制度容認派です。

年金制度に疑問を持っている方は、こちらの記事も読んでみてください。

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